ミニキャブワイド55について
2000年代初頭くらいまで、草ヒロとしてなら頻繁に見かけるモデルであり、フィルムカメラの時代なら見向きもせず、デジカメ時代になってからでも「ついでに撮っておくか」程度の扱いをしていたモデルであるが、登場から40年以上経った今、さすがに見かけることがなくなってしまった。

このモデルは過去に何回か取り上げたことがあるが、私が思っていた以上にお好きな方が多いらしく、アップ時に意外と反響があって嬉しかった記憶がある。
なんとも現金なもので、それまで見かけてもスルーすることが多かったのに、反響があってから以降は見かけるとカメラを向けることが多くなった。
ただ、姿を見ることさえ稀になった今では、そんなことも思い出話となってしまった。

今回、ミニキャブワイド55を取り上げる気になったのは、ある方からいただいた情報がきっかけとなる。
以前のページの記述(フロントマスクのエンブレム)について、発売されてすぐにマイナーチェンジがあり、その時にエンブレムが変更されているとのご教示をいただいた。
このことについては全く知らなかったことなので、改めていろいろ調べてみると、私が違いを認識していなかった、極初期のモデルがあるということが分かった。(メッセージで教えてくださった方ありがとうございます)

具体的に言うと、1977年5月登場時から1977年10月まで販売されていたモデルは、ヘッドライト下のエンブレムが「MINICAB 55」となる。
車名については「ミニキャブワイド55」と「ミニキャブ55」という表示が混在していたようで、どうもここらへんがエンブレムの文字にも絡んでいるらしい。
1977年10月の仕様変更で、ライト下のエンブレムは「MINICAB WIDE 55」と変わっている。
名称を統一して商品イメージをまとめようとしたのが正解だろうか。

1976年5月登場 ミニキャブ5

ミニキャブワイド55については、このミニキャブ5がベースとなっている。
このモデルは軽規格改正時の暫定的なモデルで、471ccエンジンを搭載、生産は1年のみ。
車幅は旧360cc規格車と同じ、全長は50mmほど旧規格サイズをオーバーしているが、ボディ自体は旧規格準拠と考えてよさそう。
ワイド55とは全く違うフロントマスクであるが、ドアパネルなどの意匠はワイド55と同一。
社章はスリーダイヤマーク。

1977年5月登場 ミニキャブワイド55

名前の通り、このモデルから550ccエンジンを搭載、ボディも新規格対応の大型ホディに変更されているが、ミニキャブ5のマイナーチェンジ扱いとなっている。

フルチェンジをしたミニキャブ5の時点で大型ボディを採用せず、ごく短期間でこのような大掛かりな変更をしているのは不思議に思えるが、同時期の他社と同様、規格改正時の混乱の産物だろうか。

ヘッドライト下のエンブレムは「MINICAB55」、社章はMマーク。

1977年10月

ヘッドライト下のエンブレムが「MINICAB WIDE55」に変更になっている。(改行が入って2段重ねとなる)

私が撮影してきた被写体は、全てこれ以降のモデル。
上の最初期型というべきモデルについては、私のコレクションの中には1台もない。
また、ネットで画像検索しても、最初期型は現役廃車共に全く見当たらない。
販売期間が半年弱ということが関係しているのだろうが、あれほどありふれた存在であったミニキャブに、このような希少性があるとは思ってもいなかった。
あるいはスルーを繰り返していた時代になら遭遇していたのかもしれず、もっと注意していればと悔しがってみても、時すでに遅し。

1979年4月

グリルのデザイン変更。
社章のMマークが大型化。

このタイプ以降は年式が浅くなることもあり、草ヒロ以外にも現役車を多く見かけたもので、よく撮影記録が残っている。

1981年5月 ミニキャブへ名称変更

ワイド55のサブネーム廃止、ライト下のエンブレムも「MINICAB」へ変更。
上級グレードのエステート追加。
グリルは、飾り気のない標準仕様のもの、赤いワンポイントストライプ(横2本)が入ったもの、ライトの周りに銀色を色さししたものなど、グレードにより数種類あり。

軽に限らずワンボックスカーの自家用車使用が流行りはじめていた時期で、アクセサリーやボディカラーなども多彩になってきた。

1982年6月〜1984年モデルチェンジまで

グリルの社章がMMCマークへ。
4WDモデル追加。

この世代は長寿であったため、期間中小変更を繰り返しているが、全体のイメージはあまり変わっていない。
かろうじて目を引くのがグリルのデザイン変更程度だったので、自身の備忘も兼ねて変遷を追ってみた。

いつものことながら断っておきますと、厳密な年式とかグレード別とか、こまかな中身にまでは手が回っていませんので、上辺をなでただけの参考程度にということで、あしからず。
内容大筋はWikipediaの記事そのままです。

この世代のミニキャブについては、サビが酷いものが多い。
経年云々以前に、あきらかに防錆が弱い印象がある。
写真のクルマは、リアゲートの「ペリペリパキパキ」が目を引くが、それ以外の場所も相当な朽ち果て方である。
グリルが外れるとグロテスクな印象になるが、これはどのクルマで同じで、ミニキャブだからというわけではない。

トップに正面からのショットを掲載したのと同じ個体。
正面からでは比較的キレイな状態に見えるが、サイドに回って見ると助手席ドアがこんな状態。
アウトパネルが脱落して中身が見えているという大変な状況だが、溶接接合部がサビではがれてしまったものと思われる。
これだけキレイに剥がれ落ちるというのも、なかなかになかなかですな。

同様状態のミニキャブは以前にも見たことがあり、よく訓練された私には驚きはありませんが。

バンモデルの屋根を俯瞰気味に撮影。
前席部分のキャビン天井はまっ平らだが、荷室部以降にのみ縦方向にプレスラインが入る。
ルーフ全体にプレスモールドを入れればいいのに、何故こんな仕様にしているのか興味がわく。
バンとトラックで仕様を共有してる?

元々のボディカラーは黄金色だが、このクルマは程よく全体がサビ色で染まっている。
部品取りにされたのか目玉はくりぬかれている状態。
室内は温室状態で、雑草がわが春を謳歌しているが、シートを突き抜けて生えきたのだろうか。

同じクルマの後ろからのショット。
ルーフ後端が朽ち落ちていて、リアドアが脱落している。
比較的形の残っているサイドに対し、ルーフ後端の朽ち方があまりに壮絶で、どうやったらこんな風になるのかと思ってしまう。
これも以前に同様状態のクルマを見かけたことがあり、サビに弱いという印象を深める一台。

これも全体にサビが進んでいる個体。
助手席ドアはかなりサビが進行している感じで、上で出した個体と同じく、アウトパネル脱落に至る一歩手前だろうか。
サイドからの写真だと、やわらかい丸っこさを持ったデザイン全体の特徴が分かる。
ちょっとふくよかな感じを持たせたかったのだろうか。
リアサイドのスライドドアは、ハンドルがパネル中央に配置されているのが特徴的。
同時期のホンダアクティも中央にハンドルがあったが、左右同じ部品なのかな。

今調べてみると、同時期のスズキキャリイは後ろ寄りに配置。
スバルとダイハツは前寄り配置で、現行のクルマは全て前寄り配置でした。
結論として前寄り配置が使いやすいということかな。

同じクルマを前から撮影。
運転席側が赤茶けているのは、隣接する建屋から落ちる雨水の為か。
なんともお気の毒な配置だが、その前にはお仲間の原付バイクあり。
ホンダのEVEで、ミニキャブちゃんとはほぼ同世代。
こちらも劣化が激しく、元色さえ判然としない有様で、シートなどは外皮がなくなって中身のスポンジモロモロがむき出しの状態になっていた。

MMCマークの付いた最終型。
ちょっと見難いが、ボディサイドのプレスラインに沿って、青いストライプが走っていて、後席ドアにはESTATEの文字が入っている。
エステートはモデル後期に存在した上級グレードで、このストライプを初めとして、いろんなところにちょっとずつお色気が入っている。
すみません詳しい内容については調べきりませんでした。

そして最高な一台。
なにが最高なのかは自分でもよく分からないが、非常に激しい状態の一台で、どこかで朽ちていたものを掘り出してきたのだろうか。
そもそもこの状態ではミニキャブということさえ分からないな。

後部はメチャメチャだったが、顔は判別できる程度にかろうじて残っていた。
つうかライト下のエンブレムが残っていなかったら、判別できなかったかもね。
多分トラックだったと思うのだが、とにかく後ろの部分はメチャクチャな状態で、残るキャビンも相当な痛み具合、前側のライトが2つとも生き残っていたのが不思議に見えた。

最後に形が残っていた一台。
やはり下回り随所にサビが見られるが、比較的キレイに残っている個体なのでは。

何度も書いたとおり、かつての私にとっては、あまり思い入れのない平凡で特徴のないデザインの軽トラという認識だったが、改めてよく見てみると、バンの丸っこいシルエット(特に後ろ)だったり、サイドの特徴的なプレスラインの模様であったり、オフセット配置されたナンバープレートであったり、軽貨物にしては立派な車名エンブレムであったりと、なかなかに味のあるデザインだったんだなあと思う。
年式が経ってからの懐古趣味だろう、贔屓目の褒め倒しだろうと言われれば、まあその通りな気もするが。

撮影は2011年、これ以降ミニキャブの撮影コマは極端にすくなくなり、最近数年は草ヒロさえ見かけなくなってしまった。

(2026.7.14)

戻る