男の中の男はみんな
自衛隊という存在に対するイメージについて、私が子供であった昭和の時代と、平成の世代、特にここ数年とではイメージに大きな違いがあるように思う。
そのイメージがどーのこーの、政治的な話があーだこーだ、良い悪い、右か左と、議論する気は全く無いので、果たし状を送りつけられても困るのだが、これも時代の流れだと思う。

私の子供の頃、登下校路の県道をよく自衛隊の車両が通っていた。
それは無骨な大型トラックかジープばかりで、戦車だとかミサイルといった直接的な兵器を積んだクルマの記憶はない。

これらの車両は数台ずつ時間差を置いて根拠地を出発していたらしく、数台の車列が続いたかと思うとしばらく途切れ、また次の塊がやってくると言った感じで、下校中に出会うとずっと自衛隊の車両ばかり続く感じで、面白い感じがした。
子供の頃一番身近に接した自衛隊がそれだったからか、私の中の自衛隊と言えば華やかな戦闘機や、立派な艦船よりも、これらの地味なイメージの方が強い。

写真は私が子供の頃に見たというトラックと同じ「73式大型トラック」、ずっと後年になってから撮った写真であるが、私の中での自衛隊といえばこの無骨なトラックである。
後ろに何かトレーラーを引いているが、大砲だったのかリヤカーだったのか、もう忘れた。

上の写真と同じクルマ?
じゃなくて後続のトラック、私がよく見ていたという昔の方式と同じで、この時も数台の車列を組んで一団となって移動をしていた。
写真で見る限り3台は連続していた模様。

このトラック、大きな図体の割りに積載量が3トン半ということで疑問に思っていた時期があったが、3トン半は悪路走行なども考慮した設定ということらしく、そんなところも軍用トラックならではというところか。
屋根についた速度表示灯も今となっては懐かしい。

今もそうなのかよくは知らないが、かつて私達の世代では「自衛隊では免許をとれる」というのがよく知られていて、入隊の勧誘でもよくうたわれていた。
特に大型自動車運転免許が公費でとれるというのは有名だったが、教習時にヘマをするとパンチが飛んでくるなどといった噂も流れていて、ひ弱な私など話を聞くだけでブルっていたものである。

写真は姫路駐屯地近くで撮影した自衛隊の教習車。
写真では見難いが、教官が乗る助手席側にもハンドルが付いていて、運転手が二人乗っているようにも見える不思議なクルマ。

よく見ると運転席と教官席はかなり離れていて、パンチを届かせるのは難しそうだ。
ダルシムみたいな超人がいれば分からんが。

これまた今となっては懐かしいミツビシジープ。
自衛隊での名称は「73式小型トラック」、パジェロをベースとした新型車にモデルチェンジをしており、このタイプの物は見かけなくなってから久しい。
ワイパーが4本(下3本・上1本)も付いているところがなんともデラックスな感じであるが、もちろん贅沢でつけたわけではなく、払拭面積を大きくしてクリアな視界を大きく取ろうとしているのだと思う。
上のワイパーについては、なんと手動ワイパーとの由で、ワイパーが故障した見えまへんという事態を回避させるためのもの。(今調べて初めて知ったんだが)
やっぱり民生品とは違うのだなと思う。

横からの一枚、フロントドアの前に原始的なベンチレーターがパッカリと口を開けている。
いまでは信じられないことであるが、エアコンがなかったんだなぁ・・・。

続いて一気にソフトな業務用車両。
これも今調べたことをそのまま書くので少し気が引けるが、「地方協力本部」で使われている「業務車2号」と呼ばれるタイプのもので、広報などに携わる担当官が使用するものだとか。
見た目はまんま極普通の商用ライトバンで、横長の自衛隊ナンバープレートと、小さな桜マークくらいしか特徴は見出せない。
このクルマに乗る広報官の任務として、大きなウェイトを占めるのが隊員募集業務であり、職安の駐車場でこのタイプのクルマを見かけたのも度々あったように思う。

かつて無職でホロホロしていた頃、職安の前で求人掲示などを見ていたところ「自衛隊に興味がありませんか!」と声をかけられたことがある。
平服の極普通の人だったと思うが、私の年齢(30手前になっていた)を聞いてあら残念と去っていった。
今でこそ太って中肉中背くらいになった私であるが、当時はまだ痩せてヒョロヒョロの頃で、そんな私に声をかけるとはよっぽど人材難なんかいなと思ったことを覚えている。

私の新卒世代であった平成初頭の頃は、「3K」「4K」、すなわちキツイ・キタナイ・キケン・カッコワルイといった職業は特に敬遠されていて、自衛隊も一般隊員といえば人気がないことで有名であった。

もう一台「業務車2号」。
これまた懐かしいホンダのシビックシャトル、写真のクルマは商用なので「シビックプロ」という名称になる。

縦に長ーく、全長は短い独特なスタイルで、現役当時はなんともミョウチクリンなデザインだと思っていたものであるが、同じようなデザインが普通に見られる今となっては、時代を先取りしたクルマだったんだなあと思う。
昆虫の触覚を連想させる、長い柄のフェンダーミラーが面白い。
シティみたいというか、シティの部品と共通?

ベース車のシビックはペッタンコな印象があったが、同じシルエットで真反対のイメージをよくも作ったものである。

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