フルヘッヘンド
ライトバンの屋根を高くして、荷物室の容積を多くしよう、使い勝手を向上させようというアイデアは、ワンボックスカーでは早くから採用されていたが、それをボンネットバンでも実現させたのがトヨタカローラハイルーフバン。
ワンボックスカーにはない走行性能と、乗り心地を実現させようとした商品であるが、扱いは「特装車」となり、通常モデルと同列に並ぶ量産車ではなかった。
カローラで設定されたのは1987年(昭和62年)登場の6代目90系カローラから、1991年(平成3年)登場の7代目100系カローラまで。

100系カローラバンは2002年(平成14年)まで生産が続いているのだが、ハイルーフモデルがいつごろまで生産されていたのかは不明。
いずれにしても、大量に生産されたカローラバンの分母に対して、極少数の生産しかなかったのは確か。

写真の車はハイルーフバンの初代モデル。
撮影したのは2001年(平成13年)で、この頃なら6代目カローラもそれほど珍しくなかったし、7代目のライトバンにいたっては、10年選手ながら堂々の現行モデルであった。

こちらはスプリンターハイルーフバン。
カローラとスプリンター、ある程度違いが演出されたセダンと違い、バンモデルのそれぞれの違いといえば・・・。
まあ細かい装飾程度でしょうな、一番に目につくのはグリルセンターのマークくらいだろうか。

カローラにはワゴン(乗用登録)モデルがあったのだが、スプリンターの設定は商用登録のライトバンのみ。
スプリンターを扱うトヨタオート店は、ワゴンのスプリンターカリブ、セダンを5ドアハッチバックに仕立てたスプリンターシエロを持っていたこともあり、スプリンターワゴンがなかったのには種々の事情があったのだろう。
但し100系ではスプリンターにもワゴンが設定されている、これも色々とバランスというか、内部の事情があったんだろうと思う。

この写真もやはり2001年撮影の古いもの、今でも残っている個体はあるのだろうか。
上に掲載した飾り気のないベースモデルに比べて、こちらは派手なストライプが入ったRV志向のモデル。
上のライトバンでは荷室部分に窓がないが、こちらは大きな窓がちゃんと入る。

このようにデザインや装飾については細かい差異が色々とあり、特にライトバンとワゴンではライト周りのデザインが変わるのだが、手持ちの写真はこの2台だけ。
後部の写真もなく、ついでに100系のハイルーフモデルも手持ち写真なし。
豊富に写真をそろえて色々と解説できればいいのだが、知識はなく資料もないのでこれでゴメンチャイ。

カリーナにも同様のモデルがあり、ワゴンとバンが設定されていた。
写真はワゴンモデルで、ベースモデル同様にカリーナサーフの名前を名乗っている。

カローラにもいえることだが、リアの改造部分の張り出しが大きいので、サイドミラー(ドアミラー)の視認性は悪そう。
外観上もとってつけたような増設部分は、お世辞にもスマートとは言い難い状態。

この車のみ後方から撮った写真が残っているが、巨大なリアハッチドアとガラスが目を引く。
トヨタのこれらのモデルは、趣味的には面白く、興味引かれるモデルであるが、大成しないままにいずれもモデル消滅。

派生車どころか、かつては販売店ごとに、またランク毎にきめ細かく設定されていたライトバンも、実質プロボックスのみに統一されてしまい、マニアとしては物足りず味気ない感じがする。

トヨタに刺激されたのかどうか、ニッサンにも似たコンセプトのモデルが設定されていた。
1990年(平成2年)登場のADバン(乗用はADワゴン)をベースに、リア部分を箱型に作り変えたモデルで、AD MAXを名乗り1992年(平成4年)に登場した。
この時期のニッサンらしく、力がこもった凝った作りの贅沢なモデルで、ある意味バブル期ならではのモデルといえる。
登場当時、私はカローラのハイルーフ車にはそれほど興味を持たず、変わった車があるもんだねという程度の認識であったが、AD MAXは面白い車だなと結構関心を持ったことを覚えている。
フランスの映画や写真に出てくるルノーや、シトロエンのフルゴネットみたいな、日本車らしからぬ外観に興味を持ったのだと思う。
販売数については不明であるが。、バブル崩壊後の不景気やニッサンの低迷時期などと重なったこともあり、目だった販売実績はなかったのではなかろうか。

サイドのドアは前席のみで、変わった形状のサイドガラスは一部が引き戸式に開く。
またこの部分の窓ガラスが無いモデルも設定されていた。
リアの扉は観音開きでこれも外観的に珍しく、ヨーロッパ車を思わせる面白い車であった。

トヨタとニッサンに刺激されたのかどうか(んなわけないか)、スズキにもあった変り種。
1991年(平成3年)、既存モデルのアルトをベースに誕生したアルトハッスル。
ベース車の後部に箱を載せたようなスタイルをしており、AD MAXと同様に、ヨーロッパ車のフルゴネットを連想させるスタイルをしている。
ただ軽自動車であるだけに全長が短く、チンチクリンな雰囲気があるのはご愛嬌。

登場当時の私の印象はミニカトッポの対抗者かなというものであった。
私がミラウォークスルーバンではなく、ミニカトッポを連想したのはワゴン車としてのイメージが強かったからだろうか。

アルトハッスルにはワゴン・バン共に用意されていたが、バンの設定はワングレードのみ。
あくまでワゴンモデルが販売主力であった。

先に紹介したトヨタ車と同様、こちらも特装車扱いの少量生産車で、頻繁に姿を見かけることはなかったように思う。
1993年(平成5年)に登場する、ワゴンRの試金石的なモデルではなかったか。

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