キャリイ55
これまでにも何回も書いたが、軽自動車規格が360ccから550ccへと変わる移行時のモデルは、各社ともそれぞれ様々な対応をとっていて、モデル展開が実に複雑難解。
スズキキャリイについても、360cc規格時代の小さなボディに、550ccエンジンを搭載したモデルが存在したのだが、スバルサンバー5、ミツビシミニキャブ5などと同様、暫定的な色合いの強いモデルであり、極々短期間で姿を消し、フルサイズ新規格モデルへとバトンタッチしている。

トップの写真は、その移行時期に販売されていた、キャリイ55。
外観はほぼ360cc旧モデルそのまんまで、前バンパーが大型化され、前方向に突き出た格好となっている程度。
後はリアの「キャリイ55」のステッカー程度だろうか。(ほかにも違いがあるのかもしれないが、私は知らない)

そんなパッとしない外観に比べ、ハートは大幅に強化され、新型の3気筒550ccエンジンが積まれている。
いままで360cc2気筒が載っていたボディに、550cc3気筒を積んだということで、羊の皮を被った狼、とまではいかないまでも、それなりに活発なモデルではなかったかと思う。
それまで、キャリイを含むスズキ製軽商用車は、2気筒エンジンを搭載しており、乗用車フロンテの3気筒エンジンと明確に区別されていた。
長年あえて2本立てのラインナップを採り続けていたのは、生産コストが第一に関係しているのだろうが、商用車としての使い勝手、トルクであるとかユーザーの維持費負担なども考慮した対応だったのかもしれない。
基本設計は同じとはいえ、2気筒エンジンのスペースに3気筒を押し込むのには苦労したらしく、リアのフロアがせりあがった形となり、幾分スペースが減じている、らしい。(雑誌ドライバー76年11月号記事より)

ちなみに同時期の乗用車フロンテに搭載されていたのは、旧型を改良した450cc(正確には443cc)という半端なエンジン。
これは排ガス規制への対応に苦慮し、開発が遅れたため。
キャリイが先行して550ccエンジンを搭載できたのは、排ガス規制が緩い商用車であったためで、フロンテがフルサイズエンジン(自社製2サイクル550cc)を搭載できたのは、キャリイより1年以上後になってからだった。
フロンテには、ダイハツ製4サイクル550ccエンジンを積んだモデルなども存在して、実に興味深いのだが、今日はフロンテの件はこれでおしまい。


360ccエンジン
キャリイ360

550ccエンジン
キャリイ55
360ccモデルと、550ccモデルの比較。
先にも書いたとおり、パンパー以外、外観上の違いは殆どなし。
排気量をアップした新エンジンを積んだのだから、外装もパッと目新しくしてほしかったところだが、新規格の大型ボディ車の投入は既定となっており、そこまでする気がなかったのだろう。
事実、この旧ボディ・新エンジンという組み合わせのキャリイ55は半年弱で姿を消しており、ボディを大型化したキャリイワイドがその後継となった。

ということで、キャリイ55というのは生産期間が短く、絶対数が少なかったため、今となっては廃車体でも姿を見ることが困難。
写真のキャリイ55は、田舎道の路肩で朽ちていた個体であるが、当時は珍しいという感覚は全くなく、外観を一枚と、リアのステッカーの写真を撮ったのみ。
もう少しあちこち写真を撮っておけば、もっと面白い考察ができたかもと思うが、今更どうにもならない。
どっちにしても、私が撮影した力のキャリイ様達は、全部が全部、顔が隠れているか、グリル・ライトが脱落していて、ご尊顔を拝することは出来ていない。
私何か悪いことしましたか?


キャリイワイド
そんなキャリイ55に比べ、後継のキャリイワイドは、比較的残存数が多い。
前者に比べれば生産期間が長いから、当然といえば当然。
またボディが大きくなり、エンジンも強化された新規格モデルということで、販売数も多かったのだろうと思う。

旧規格360cc

新規格550cc
キャリイワイドとキャリィ360の比較。
フルモデルチェンジとはいいながらも、全体のフォルムはほぼ同じ。

360ではドアパネルに隠れて見えないBピラーが、550では柱のように立ち上がっているのが分かる。
この部分で全長を延長したわけですな。
サイドパネルの窓は、大きさ形がそのまんま。
このほか前バンパーが大型化、フロントパネルのグリル部分が、前側へ張り出すよう突き出ている。
この張り出し分、キャビンも広くなってる・・かな?

フロント&リアパネルの幅方向、つまりボディの拡幅は、切って貼って広げているのだろうが、視認できる特徴としては分からない。
ただリアパネルは意匠が変更されていて、アクセントのプレスラインが変わっている。
またナンバー灯の取り付け位置なども上下逆さになっており、フロントグリルと共に、前後のパネルはデザインの変更点が多い。
サイズ変更にあまり関わらないサイドパネルは最小限の変更で、いじらざるを得ない前後のパネルでは同時にイメージチェンジをと、効率的な効果を狙ったのだろう。

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