展望良好
古い旅行ガイドブックか何かで見た記事だと思う、北海道の層雲峡というところでは、屋根がガラス張りになった観光バスが走っていて、座席に座ったまま、峡谷の下から見上げる景色を楽しめるという。
その記事を読んだのがいつの頃だったのか、どこのどの本だったのかすっかりと忘れてしまったが、その本には実物の写真は掲載されておらず、勝手に「ガラス張りのバス」を想像して、面白そうなだなと思ったことは覚えている。
それから相当後になってからだと思うが、その「ガラス張りのバス」の写真を見ることができた。
私が想像していたのは、屋根が全面ガラス張り、サンルーフ仕様というバスだったのだが、実際のバスは屋根の左右両端に、小さなのぞき窓のようなものが付いているだけというもので、ガッカリとまでは言わないが、ズコッとこけてしまったことを覚えている。
私的には期待はずれであったバスであるが、現地では結構な有名な名物バスであったようで、今回の記事を書くにあたって検索してみたところ、簡単に何件も記事が出てきた。
興味のある人は検索してみてください。

さてさて、今回も前置きばかりが長くなった。
天井の展望窓について触れたかったためであるが、それは少しおいておき、先ずは今回のクルマの素性について書いておきたい。
残念ながらフロントマスクが半壊していて、物件的には面白みに欠けるが、私的にはいままでに見たことがない珍しいマイクロバス。
実はその場では正体が分からず、帰宅後あれこれと調べまわって判明した正体は、昭和30年代半ばまで生産されていた、「トヨペットマイクロバス」であるらしい。
同時期の、2トントラック「ダイナ」とスペックが重なっており、ダイナにバスボディを架装したモデルだと思う。

現地で車名、それどころかメーカー名まで分からなかった原因は、それらを示すプレートやエンブレムの類が全く見当たらなかったことにある。
草むらを掻き分け掻き分け、あちこち探しまわってみたのだが、崩壊の度合いが酷く、紛失したのか、最初からなかったのかよく分からなかった。

全体の景観はご覧の通り・・・。
老朽化で自然崩壊しているのだろうか。

上で屋根の展望窓について長々と書いたが、このバスも同様の展望窓が付いている。
車体に観光ホテルの屋号表記が残っているが、層雲峡とは全く関係のないであろう、地元兵庫県の業者名が入っている。

窓ガラスは、左側側面一部分のみ、何枚かが残っている。

車体左、乗降口側からの眺め。
かつては物置として使っていたのだろうか、座席は取り外されて、ゴミがたくさん詰め込まれている。
あるいは、かつては倉庫の収納品だったものかもしれないが、今となっては正体すら知れず、全てはゴミにしか見えない。

半壊状態の前面パネルは運転席側の損傷がひどく、ハンドルや計器盤などの部品はまったく見当たらなかった。

車内からの展望窓の眺め。
天井部分には生産当時のものであろう、断熱材が比較的キレイに残っている。

先にも触れたとおり、このクルマは地元の観光業者が使用していたものだが、この周辺には峡谷のような、見上げるような景勝地は全くなく、なんの意図をもって展望窓を採用したのかは不明。

戦後の観光ブームでは、意味もなく、やたらとデラックスな装備を誇って客寄せをすることがままあったそうで(今でも同じか)、このクルマもそんな目的で導入されたのかもしれない。

後部ランプ周りはシンプルな造形。
ランプ周りのプレスラインは、ヘッドランプ周りと共通の形状で、対照のデザインとなっている。

赤ランプの左隣は破損欠品。
配置のセオリーからいうと、ウィンカーの橙色ではなく、後退灯の白じゃないかと思うが、確認するすべもなく、正解は分からない。

最後に、後ろ側から撮った一枚。

ボロボロで、正直何の役にも立たない代物なので、いつ撤去されるか、いつなくなってしまうのか、度々覗きに行っているのだが、いまところ健在。(昨日見てきた)

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