ボクサーディーゼル
ボクサー
昭和30年代から、昭和40年代のマツダ(東洋工業)は、実に元気でイケイケドンドンであった。
もちろん、マツダに限ったことではなく、高度経済成長期の自動車メーカーのほとんどがそうであったのだろうが、この時期のマツダは総合自動車メーカーを目指していたのか、様々な方面にラインナップを拡充させようとしていた節がある。
その分野の一つが中型トラック市場への参入で、1968年(昭和43年)にマツダボクサーを名乗る新型トラックを投入した。
投入当時、マツダトラックの最大モデルは、3.5トン積みのE型(後のタイタンシリーズ)トラックであり、エンジンは2500ccディーゼルが最大であった。
対して、新モデルのボクサーは一回り大きいボディに、イギリスパーキンス社との技術提携で生まれた3783ccディーゼルエンジンを搭載、3.5トン積み、4トン積みをラインナップ、モデル後期には4.5トン積みモデルも追加した。

それまで2トンクラスがメインであったマツダにとって、参入に際し相当な力を入れたのであろう、デザインも非常に個性的なものが採用され、フォグランプを標準装備して、6灯式のフロントマスクを採用、フロントパネルには大きな安全窓を装備して、死角を減らす工夫が施されている。
販売実績がどうであったのか資料がないので推測するしかないが、それなりに程度であったらしく、結局オイルショック後の時期に整理されて、以降このクラスの専用モデルは消え去ってしまった。(生産中止の時期詳細は知りません)

今回紹介するボクサーは、ナンバーを外された状態で余生を送るクレーン付きモデル。
黄色っぽいこの色は純正色らしい。(web上にカタログをアップされている方がおられます)
私の記憶にあるボクサーは、薄い灰色のものしかない。

前からの一枚。
クレーン付きのトラックの常として、フロントバンパーが上側に反りあがってしまっている。
この手合いは、走行時クレーンフックがゆれないよう、バンパーに繋いで固定するのだが、固定の際に巻き上げ過ぎるとバンパーがへしゃげてしまうという事らしい。
クレーンの操作部は、キャビンの後ろ側にあることが殆どだから、キャビンの前になる巻き取り状況は、オペレーターからは見えないもんね。
以前家の隣にあった製材所では、この手のクレーン付きトラックが常に数台在籍していたものだが、どのクルマも大なり小なりバンパーが曲がっていたように思う。

そういえば、最近はそーゆーのを見なくなったなあと思ったら、最近のクルマでは「フックイン機能」という、自動固定装置(アーム側にフックが自動固定される)が付いているんだそうです。
世の中は日々進歩しているのです。

この手のバンパーがへしゃげたトラックは、口をヘの字に曲げて不満そうにしているように見える。
当然この手合いは年式の古いボロトラックであることが殆どなので、その表情と相まって、どことなく哀愁が漂う。

こちらは比較的接近して撮れた、別の個体
タイタンのブルーのようにも見えるが、純正色なのかどうかはやっぱり不明。
このローリー車、そして一枚目のクレーン付きトラックもそうだが、特殊用途車は初期費用がかかっているからか、便利だからなのか、廃車になってもこのように保管されているケースが多いように思う。

上にも書いたように、どの程度の販売実績があったかは不明であるが、私の記憶ではそこそこに見かけたような気がする。
もっとも、これは個性的なフロントマスクの印象が強すぎて、記憶に残っているだけなのかもしれない。
幼少当時の私のお気に入りは、なんといっても日野レンジャー。
対して、このボクサーは6灯ランプから昆虫の顔か何かを連想していたような記憶がある。
気嫌いしていたわけではないけど、少なくともカッコイイとは思ってなかったと思う。