ジャーニータビキヤネン
いすゞエルフ・ルートバン?
違うのよ、今回の主役は、ちょっと珍しい、ちょっと嬉しい、ミニバス、いすゞジャーニーS。
外観は商用車のルートバンそのもの、トラックモデルと顔は全く同じであるし、座席を増やしただけじゃんと突っ込みたくもなる、なんとも飾り気のないデザイン。
僅かな洒落っ気は、「Journey」というエンブレムと、ビミョーな感じがするツートンカラーの塗装くらいか。

冒頭「ちょっと嬉しい」などと書いたのは、個人的に懐かしい感情を覚えるクルマに再会できたことと、ぼんやりとしていた記憶の整合がとれたため。

その昔、私の祖父はキコリとして働いており、家の隣にあった製材工場に籍を置いて、その会社が作業を請け負った山で伐採作業に当たっていた。
その作業現場に移動するための送迎バスが、今回と同型のエルフ顔のバスであった。(当時はエルフのバスだと思っていた)
その当時、夕方になると県道の脇に立って、祖父が帰ってくるのを出迎えたりしたもので、県道のカーブから赤帯のエルフ顔が現れてくるのを、弟と二人で待っていたのが懐かしい。
お出迎えをすると祖父も喜んだし、子供好きという運転手のおっちゃんに手をふると殊更喜んでふりかえしてくれるので、なかなか楽しかったような記憶がある。
昭和60年前後だったろうか、このバスはクリーム色のいすゞファーゴに買いかえられ、私達も大きくなってお出迎えの行事から遠ざかってしまった。

それっきり、このバスとは再会することもなく、かといって探し回る程の思い入れもなく忘れていたのだが、平成に入り、古いクルマに興味を持ち始めた頃、ふと気にかけてみれば、水色の帯が入ったルートバンは廃車体で時々見かけるものの、赤帯のエルフバンを見かけることは皆無。
俺の記憶違いだったんかなぁと、これまた長年気にしていたところ、今回ドンピシャ、ビンゴのクルマに遭遇。
めでたくその正体が「いすゞジャーニーS」というミニバスであったと判明したのである。

たまたま手元にあった「自動車ガイドブック'78年版」に、同型車が一台紹介されている。
それによればジャーニーSは、15人乗り、4段変速のギアに、エンジンは1951ccのC190型ディーゼル、出力は62馬力という思わずシビレてしまいそうになるステキな仕様。
以前、消防団で使っていたファスターディーゼルと同じエンジンのようだが、あれは走らなかったよー、ホントに。

翌年の「自動車ガイドブック'79年版」では、エルフのマイナーチェンジと同様に、フロントグリルのデザインが変更されたジャーニーが掲載されている。
このモデルでは、エンジンが2400ccディーゼルに強化され、ミッションも5段変速へ、「ハイルーフ・マイクロバス」という表現も追加されている。
そして翌年のいすゞファーゴの登場と同時に、エルフ顔のジャーニーは終焉を迎えるのである。

今回撮影した個体は、エルフで言うところの3代目前期の顔をしたジャーニー。
エルフのモデルチェンジと同時期とすると、1975年(昭和50年)から1978年(昭和53年)までのモデルか。
後部客室ドアを含む助手席側の側面は、ブルーシートに覆われて観察できず。
反対側側面に、換気扇が埋め込まれていたりすることを考えると、集会所か詰所といった用途に使われているのかも知れない。
しかし、電線が見当たらないが、換気扇はどうやって回す?

車体後部は開閉できるようになっておらず、当然ドアノブもないのでつんつるてん。

で、ここで問題。
上で長々と記した同型車の思い出話であるが、私の記憶では、後部にはちゃんとドアがあったような・・。
左右非対称の観音開きの扉が付いていたように思うのだが、そういう仕様があったのだろうか。
それとも私の記憶違い?

結局、すっきりと晴れない、もやもやとした気持ち悪い記憶との葛藤はこれからも続きそうです。

えー、「Journey」のエンブレムのアップが見たい!
というリクエストを頂いていたんですが、残念なことにアップの写真を撮ってません。
「珍しい」などと自分で言っておきながら、ツメが甘いよなー。

ということでゴメンナサイ。
左写真は、エンブレム部分を無理やり拡大したもの。
右半分は、かつて撮影していた中型ジャーニーのマスクについていたエンブレム。(こちらで紹介済み)多分これと同じタイプだと思うんですが・・。
テールランプも同じものみたいですね。

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