RR(リアエンジン・リアドライブ)のボンネットバン RR(リアエンジン・リアドライブ)方式を採用した初代レックスには、セダンをベースとした派生モデル、ライトバンとワゴンモデルが存在した。 セダンをベースにバンやトラックを作るのは、古今東西メーカーを問わず常套手段として用いられる、説明するまでもなく部品や設計を共用する事で、安価にバリエーションを増やすことが出来るからである。 しかしリアエンジンのセダンをベースにバン、しかもボンネットバンを作ったメーカーというのは国産ではスバル位しか思いつかない。 そもそも後ろから荷物を出し入れする事の多いライトバンに、リアエンジン車を使うのは非常に不利なのだから。 この異色と云えるリアエンジンのボンネットバンであるが、スバルでは極初期から、スバルコマーシャルというモデルが存在した。 この後、後部荷室を拡大したスバルカスタム、スバルR-2バンを経てレックスバンへと発展している。
昔の軽・ボンネットバンというと、セダンの後部ボディを箱型にして商用車としての積載性の向上と、セダンとの外見での差別化を図ったものが多かったのだが、レックスバンについてはセダンとほとんど同じラインを持つデザインが採用された。 テールゲートの傾斜がきつく、荷物が積めないという声も有ったようだが、ライトバンらしくないという点は新たな武器にもなったようで、見た目はセダンと同じ、スタイリッシュ(?)なバンとしてそこそこ好評だったようである。 もっとも当時のスバルの台所事情からいえば、あまりバリエーションを増やす余力もなかったはずで、セダンとボディを共用したというのは、「仕方なく」といった面も有ったのではと思う。 また初期のバンは後部座席のない2シーター車のみの設定であったが、これも荷室スペースをフォローする苦肉の策というところだろうか。 その後は4シーターで乗用登録となるワゴンや、4シーターのバンを追加。軽規格改定後もセダンと歩調を合わせる形でボディ、エンジンを拡大化するなど進化を続けた。 そんなレックスバンに転機が訪れたのは、強敵スズキアルトの登場。 47万円という低価格を看板に登場したこのクルマ、セダンらしく見えるライトバンというアイデア商品。 ライトバンなら税負担が軽く、使い勝手はセダンとそんなに変わらないという所を上手くついた商品であったが、ある意味レックスバンはこのアイデアを先取りしていた事になる。 悲しいかな当時のレックスは既に旧態化しており、新型車アルトと互角に戦う力はなかったものの、バン・スタンダードをファミリーレックスというグレードに仕立てあげ、この市場で戦うこととなった。 初代レックスのモデル末期、古いモデルでありながらも、いくらか善戦することができたのは、セダンの様なライトバン、レックスバンが有ったからこそではないだろうか。 また極短期間ながら、レックスバンをベースとした乗用登録のワゴンが存在したというのも、レックスバンの持つ性格ゆえの出来事であったと思う。 | ||||
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