崩壊

昔のクルマは、10年くらい経つと、サビであちこちに穴が開いてくるようなものが多かった。
一説では、オイルショック直後に生産されたクルマは、防錆材の質が悪いか、薄いだかで、特に錆びやすいらしい。(本当かどうかは知らない)

この世代のミニキャブも、サビについては例外でなく、現存しているクルマ、特に草ヒロ状態のものは酷く錆びているものが多い。
ここではそんな悲惨な状態にある、ミニキャブワイド55の姿をご覧いただこう。

まずご覧いただくのは、リアハッチドアのヒンジ部分のアップ。
重い一枚物のドアを、上部のヒンジで支えているわけだが、ここがサビ、もしくは老朽化して壊れ、ドアが脱落してしまっているものが多い。

脱落 1

とりあえずダンパーで支えられているものの、ヒンジが崩壊し、ハッチドアが半吊状態となってしまった個体。
元々は物置だったのだろうが、既にその役目は果たせていそうにない。
これほどの状態なら、雨漏りもしてるんだろうなあ。

脱落 2

これも「元倉庫」といった感じの物。
脱落したリアハッチは、既に跳ね上げ不能状態。
左右の扉は、それぞれ大木と、積み上げられたタキギのようなもので埋め尽くされている。
持ち主も、もはや倉庫としての用途をあきらめているのだろう。

脱落 3

リアドアと、運転席ドアが失われたミニキャブバン。

脱落して使えないようなドアはいらないわい、使えないなら取っ払ってしまおう、ということか。

ブルーシートとベニア板で作られた目張りに(しかも結構適当)、使用継続にかけるオーナーの執念が感じられる。

脱落 4

こちらは脱落というよりも、崩壊と言う感じ。
詳しく観察してはいないが、リアハッチの下半分はどうやってボディにくっ付いているのだろう・・。
運転席ドアに至っては、外板が剥がれ落ちるという、想像を絶する朽ち方をしている。

これも脱落を過ぎて、崩壊だね。
私が今まで見てきたなかで、一番激しい姿をしたミニキャブワイド55。

かなり内陸にある山間の集落で発見したクルマであるが、とにかくサビ方がすごい。
サイドドアが「く」の字状態で曲がっているのもさながら、サイドパネル全体が屋根と分離しそうになっている所がすごい。

こちらは現在進行中(なにが?)の個体。
ドアこそ全部そろっているが、サビが全体に進行しつつあることがよく分かる。

特に写真右側のクルマはなかなかの腐り具合で、今後が楽しみであったのだが、残念ながら撤去されて現存しない。

写真では確認しづらいが、リアハッチドアが跳ね上げられたまま状態で、ツッカイ棒で固定されている。

これも倉庫として利用されているものだが、ヒンジが痛み、リアハッチの開閉がし辛くなってきて、こんな状態にされてしまったのではなかろうか。

屋根がベコベコ。
地元の悪ガkidsの諸君が、ブレイクダンスでも踊ったか?

屋根が酷く錆びているのは、外傷的な要因ではなく、塗装の劣化が原因だろう。
昔のクルマのメタリック塗装は弱かったもんね。

閉まり切らないまま、みょーな形で固まっているサイドドア。
スライドドアのガイドレールが曲がったのか、腐って破損したのか、半分脱落状態。

このケースも、同様な状態になった個体を何台か見かけている。
やはり強い力や加重がかかるところは壊れやすいということだろう。

発射台を思わせる足場の上に置かれたミニキャブ。
やはり倉庫として使われているようだが、足場がなんとも頼りないもので、危なっかしい。

つや消し状態の塗装は、恐らく純正塗装そのもの。
もちろん新車時にはツヤがあったものだろうが、ミニキャブのこの茶色は経年でつや消しのサビ色となってしまっているものが多い。

草むらの陰から(一応花壇?)私を見つめるミニキャブ。
元色はパープルっぽいメタリックだと思うのだが、色あせが酷く、サビの侵食も広がりつつある。

まぶしい緑と、洗濯物の白に囲まれながら、なんとも哀しい目つきを見せるその姿に哀愁を感じる。

嬉しいとメガネが落ちるなんて人が居たが、こちらは笑い事ではなく、メガネだか仮面だかがズリ落ちて、グロいお顔に陥ってしまった人。

後ろ半分の荷台部分はなく、キャビン部分だけが意味も無く放逐され、温室状態の車内に雑草が生え放題。
キレイに整備された田んぼの脇で異彩を放っていた。

このように開けた場所で、物置としての用途でもなく、意味も無く放置されたクルマは最近珍しい。
強いて言えば、オブジェですかね。まさか草ヒロ愛好家のためにとり置いているのではあるまい。

これまたグロテスクなミニキャブトラック。
キャビンがゆがみ、背骨がへし折れているのは、重機かなにかに蹂躙された痕だろう。
フロントマスクには重機の爪あとは見られないが、グリルが外され、目玉がくりぬかれて、必要以上な不気味さをかもし出している。

ひっくり返ったミニキャブ。
車体後部はクシャクシャで、トラックなのか、バンだったのかも判然としなかった。
それでも僅かに残るフロント周りに、ミニキャブワイド55の面影を見た。

分かりにくいという人は、パソコンの画面を上下ひっくり返して見てみるといい。