草ヒロ界の現状と将来について

我々草ヒロ愛好家を取り巻く社会情勢と、草ヒロ界の将来については、決して明るいものとはいえない。
特に自動車リサイクル法施行と、金属価格高騰による影響が与えた、散々な状況は皆さんよくご存知のとおり。
長年野山の主として、悪ガキどもの破壊対象として、秘密基地として、我々愛好家の心のよりどころとして存在してきた、歴史的な草ヒロ達が、無残にも撤去され、多数がその姿を消した。
しかし我々はここで挫けるわけにはいかないのである。この程度の障害は克服せねばならないのである。
草ヒロ趣味の社会的地位を確立するという、我らの崇高な目的を実現し、その成果を全世界に知らしめるために、草ヒロの探索と、情報発信活動は続けていかねばならない。
各位におかれては、万難を排して任務を遂行し、一層奮励努力して我らが「草ヒロ魂」を発揮していただきたい。

諸氏の健闘を祈る。

草ヒロ愛好者連盟 会長(だったっけ?) みささみまさか

冒頭、長いつまらん冗談はさておき、草ヒロ界の状況は実際に明るくはなく、いわゆるレア物、天然物草ヒロに出会う機会は激減した。
他所様のサイトでは、常にレア物を発掘されている超人のような草ヒロ愛好家が多数いらっしゃるが、私は「どっから見つけてくんだよ、あんなのー」「才能だよなー」とか独り言を言いながら、指をくわえて羨ましがっている。まだあるところにはあるということなんだろうが、個人の探索努力の賜物でもあるのだろう。

私事では、2009年は比較的休みがとりやすかったので、あちこちウロウロしたものであるが、これはと思うような物はあまり見つけられず、以前は見向きもしなかった、90年代の新しい物件を撮影したりして気を紛らわせたりしていた。
それでも最近はこれはこれでいいかと、新しい物でも積極的に撮影するようになってきている。
とはいいながら、上のように放置原付の写真まで上げるのは節操が無いような気もするが、いかがなものか?

とりあえず今回ご紹介するのは、そういった路線転換を始めた2009年中に撮影したものの抜粋。
文中でもそれぞれ触れているが、個人コレクションと思しきもの、ヤードでの撮影などが多くなっている。天然自然の草ヒロとは区別すべきなのかもしれないが、そこら辺は適当にごまかして、一切合切混ぜこぜで紹介しているのであしからず。

付録 2009年草ヒロ撮影活動の記録

ニッサングロリア

ニッサンL型エンジンを積む後期型。
後付のカスタム部品だろうか、ライトに眉毛を連想させるカバーが付けられている。

ここには他にも何台かの旧車が置かれており、ショップの車両置き場のような雰囲気があった。あるいは個人のコレクションなのかもしれない。

最近はこういった場所でしか、珍しい古い車を見つけることが出来なくなりつつあり、このように失礼して、撮影することが多くなった。

純粋な草ヒロ趣味としては、邪道な撮影手法だとは思うが、最近はあまり気にしないようにしている。
だって本当に草ヒロあんまりないんだもん。

ニッサンプリンススカイライン

これは整備工場の裏手に置かれていたもの。
オールドタイマーで長期(?)レストア記事が載っている、あのスカイラインと同型車。
こうやって遠目から見ると、後部ガラスが大きくラウンドしていることに気がつく。いかにもお金がかかっていそうな感じで、「大衆車」とは違うんだぞ、と自己主張している雰囲気。

原色は赤だったのだろうか・・、全身がサビ付いていて、正にサビ色という感じ。
右後部フェンダーのモールが外れて、すさまじいサビが顔を覗かせている。オールドタイマーの記事にもあったが、モールはステンレス製で、電蝕を起こすんだそうな。

ミツビシコルトギャラン

スマートな洗練されたデザインで、野暮ったいイメージが先行しがちであった、当時のミツビシ車のイメージを一新したクルマ。
これも全身サビが走っており、すさまじい色合いのコントラストを見せ付けている。

これはミツビシの看板を上げた、修理工場のヤードを遠くから撮影したもの。
古くからある修理工場では、この手の古い車がたいてい何台か置かれているものである。店主が思い入れのあるクルマを、記念においているのだと思う。

この手のケースにすっかり味を占めつつある私は、こういった整備工場を見つけると、必ず目を走らせるようになってしまった。

ホンダT360

昭和38年登場、二輪のホンダが初めて参戦した四輪自動車。
360cc、水冷、DOHC、四気筒エンジン搭載という、当時の常識を一気に飛び越えた、とんでもない軽トラック。
聞くところによれば、エンジンのみでほぼ販売価格並みのコストがかかっていたとかで、もとより利益の出るクルマではなかったらしい。
ホンダらしいといえばそうだが、既に世界一になっていた二輪部門があったからこそ、実現したクルマといったところか。

ダイハツミラ

660cc規格になった頃のモデルであるから、最も古い型なら既に20年選手である。

10年前なら、20年落ちのクルマを見ると「古いクルマだな」という感じがプンプンしてワクワクしたものだが、今20年落ちのクルマを見ても、さしたる感慨を覚えることは少ない。これは、クルマの耐用年数が上がって、古いクルマでも見かける率が高いことにあるのではと思っている。

以前ならまずカメラを向けなかった年代のクルマであるが、最近はこの年代のものでも、結構まめに撮影をするようになった。

これは不法投棄車なのかな、ボンネットがつや消し茶色風味塗装になっているのは、上を走る高架橋からサビ水が落ちてきているため。

ホンダビート

バブル期に登場した軽オープンカー。
所轄官庁が「スポーツカー」を名乗ることに横槍を入れて中止させたとか、メーカーが自主的に規制して名乗らなかったとか、登場当時そういった話を聞いた覚えがあるが、規制緩和時代の今だったら、どういった方向に話が進んだのか興味のあるところ。

写真は、道路脇にしばらく前から放置されている、赤いビート。
赤色があせて、つや消しのようになっているのが哀れ。
もっとも普通の草ヒロとは役者が違うから、そのうち好きな人が復活させてくれるのでしょう。

ダイハツハイゼット

660ccに大型化された当時のハイゼット、一目で分かるように元郵便車。
赤色のペンキがはげて、青色の地模様が浮き出てきたように見えるが、その逆で青色の後塗り塗装が剥がれて、このようにマンダラ模様になってしまったのだろう。

郵便配達用の特別仕様バイク(いわゆる郵政カブ、MDカブ)は、払い下げを受けても、赤色以外の色に塗らないと違法になるという話があったが、郵政民営化後はとういった扱いになっているのだろうか。

すくなくともこのハイゼットについては、赤色以外に塗らねばならない、という時代に払い下げられたものなのであろう、

ホンダアクティ
ニッサンスカイライン

草ヒロ界では比較的現存率が高いホンダアクティと、希少化でコレクターズアイテム化しつつある、スカイラインジャパン。
もはやこの世代でも、マニアの個人所有物以外の物件、純然たる廃物としてのスカイラインは多くはないと思う。
写真のスカイラインも、あるいは個人のコレクションなのかもしれない。

反面奥のアクティは純粋なる「草ヒロ」物件。
アクティマニアなんて方も居るのかもしれないが、少なくとも私は知らない。
平成直前まで生産されていたこともあり、現存率は高め。畑の物置などとして使われているものもよく見かける。

トヨタトヨエース

顔のパーツが崩れおちて、なんとも不気味なガイコツ顔となってしまったトヨエース。
元のカバを思わせる間の抜けた顔付きとうってかわり、激しいサビの侵食が、相乗的に不気味さを増幅させる。

このクルマは、フジパンカラーの元配送車。右側に写るいすゞエルフも同じ仕様だろう。

この時代のクルマは、一般的に窓ガラスの面積が小さい。
ガラスは重いから、重量増を嫌ったという説も聞いた覚えがあるが、真偽の程はわからない。

ダイハツハイゼット

以前「不気味だ」、「コワイ顔」と連呼して、すっかりとそのイメージを自己定着させてしまったハイゼット。

正直なところ、今は昔ほどは怖くないです。子供の頃には本当に怖かった時期もありましたが・・・。

そういいながらも、今回も不気味なイメージを伴うハイゼットの写真。
これほどメッセージ性の強い写真もあるまい、ハイゼットの心の叫びを受け取ってください。

「産廃反対」

ダイハツハイゼット55ワイド

なんともド派手な衣装をまとうハイゼットの草ヒロ。
久しぶりに捕まえた純正、天然物の「草ヒロ」という感じ。
サビの進行がすさまじい。塗装膜がサビで浮き上がっている状況を見て、近寄ってペリペリとはがしてみたい衝動に駆られたのだが、なんとか自重して思いとどまった。

この時代のハイゼットは、この黄緑色メタリックのほか、茶色のメタリックなども用意されており、なかなか鮮やかな印象であった。
ワンボックスカーを、乗用的な目的で買う人が増えた為だろうか。この手の軽バンでは、ミニキャブの金色、キャリィの茶色メタリックが懐かしい。

このタイプのハイゼットには、水色のメタリックもあったように思うのだが、私の記憶違いかもしれず、ネット上でもその姿を見ることがない。

トヨタコロナリフトバック

トヨタがしつこく、もとい、粘り強くリリースし続けたにも関わらず、国内市場ではマイナーな存在に終わってしまったコロナのリフトバック。
T190系(中村雅俊のコロナ氏コロナ)の代でもリリースされたときは、正直驚いたものである。

父が同世代のコロナセダンに乗っていたが、このリフトバックについては検討した形跡も無い。
コロナブランドを選ぶ人たちは、保守的な層が多かったはずで、こういった点もリフトバックには不利だったのだろう。

ミツビシジープ

以前は自衛隊仕様がいくらでも見られたミツビシジープであるが、パジェロベースの新型車両に代替わり、姿を見かけなくなって久しい。

ミツビシジープというと、私の中では前述の自衛隊と、積雪地帯の官公庁で使われている姿が思い浮かぶ。

古い映画などでは、警察車両として、例えばトドロキ警部と、きんでぃちさんが山道の悪路に辟易しながら乗っているという姿がよくシーンとして見られた。
その当時は、ジープこそがナンバーワンブランドだったんだろうね。

現車は民生用らしき車両、幌は比較的まともに残っているものの、ボディのサビ具合がなかなかに激しく、私の血を騒がせる。
フェンダーに穴が開き、ステップが消滅するほどのひどい腐食具合であるが、海辺ででも酷使されたのだろうか。
なかなか良いものを発見できたと、久しぶりに満足できた一品。

トヨペットコロナ

いわゆるブラボーコロナの前期型ではないかと・・。
というのも今ひとつ自信がなかったので。最初はマツダ系かと思ったのだが、拡大してみると「TOYOPET」という文字が見えたため、コロナと判定。
初期型は赤色のワンテールなんだね。
毒々しい青色の塗装はノンオリジナルだと思うけど、これも確信はなし。
昔のトミカにでもありそうな塗色である。

ボディは目立った傷も無く、リボンタイヤもキレイに残っていた。青色の塗装が保護に役立ったのだろうか。

マツダボンゴ
スバルレオーネ

60年代、70年代の草ヒロが絶滅状態に向かっている現状況下、これから力を注いでいくべき対象は80年代、90年代のこういったクルマたちであろう。

ボンゴは箱バンという性格上、物置として最適な存在故に、かなり頻繁に見ることができる草ヒロ車両である。
またそれゆえに「なんだボンゴか」と、軽く見がちな存在であったのも確か。最近はちょくちょく撮影をするようになってきているが、今でも旺盛に撮影意欲を掻き立てられる程の役者ではない。
2代目ボンゴなら積極的に撮影するし、初代なんか見つけた日にゃあんた、涙を流しながら有難がって撮影をするはずなのだが、我ながらわがまま勝手なことだとは思う。

レオーネはサビがひどい、ボンネットの先端がカスカスになるほど鉄板が薄くなっている。
この世代で、これだけ錆びているクルマはあまり見かけないように思う。
よっぽど悪条件下で酷使されたのだろうか。

ホンダN360

ある山村の田んぼの脇で見つけたNコロちゃん。。
相当にひどい錆び具合、破壊具合であるが、そこがまたなんともいえない味わいをかもし出している。

屋根の大部分が錆びで抜け落ちており、屋根はあって無きようなもの。
車内とトランクには農具が押し込まれていたが、既に雨露をしのぐ、物置としての用途は果たせていない。屋根が抜けたNサンは以前にも見たことがある。
私の父が、ホンダは鉄板が薄いとよく言っていたが、関係があるのだろうか。

内外装の一部や、グリル周りのパーツは人為的に外された形跡があるが、エンジンはそのままに残っていた。
放置後かなり経ってから、部品取りとして活用されたのだろうか。

既に粗大ゴミ同然の姿と化した状態であり、いつ撤去されてもおかしくない状況のNサンなのであるが、誇り高き草ヒロホンダに幸多かれと祈念して現地を離れた。

でその帰途途上、田んぼの泥濘に脚を取られて大転倒。泥まみれになった靴を、小川の水ですすぐ羽目になった。田んぼの泥は目が細かいので、なかなか落ちないんだこれが・・。

ミツビシブラボー
スズキエブリイ

今回何回も繰り返し書いたが、そろそろこの世代を真剣に追い求めてゆく時代が来たなと感じはじめている。
この写真もクルマの中から、しかもガラス越しに適当に撮った写真なのであるが、もっと性根を入れて真剣に取り組まないと、草ヒ連会長の肩書きが泣くというもの。

と、日記にはとりあえず書いておこう。
次からちゃんとやるよ、多分。

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