草ヒロばんざい!


その4 実践!草ヒロケーススタディ


さて準備が整えばいよいよ「草ヒロ探訪」へと出発しよう、まず諸君の移動の手段であるが、やはり自動車やバイクを使われる方が最も多いと思われる。
草ヒロというものは「廃車」という性格上都会の中に有るケースは少なく、田舎に有るケースが多いだけに機動力が大変ものを云う。
もちろん自転車や徒歩といった手段もそれはそれで良し、この場合はたいへん小回りが効くし、運動をするという事は健康の為にも良い。

次ぎに目的地で有るが、前述の様に田舎の方が遭遇の確率が高く、また珍奇なものに出会う事も多いようである。
もちろんこれは一般論で有って、都会のど真ん中、やたらと地価の高いところに放置されてしまった「贅沢な草ヒロ」というものも少なからず存在するようなので一概に断言はできない。

ここで一つ注意しておきたいのは「草ヒロ探し」だけが目的の旅というのは、いささか味気なく、もったいないと云うことで有る。
これはめぼしい物が見つからなかった時はがっかりして、「ガソリン代損こいた〜」とか、「俺はいったい何をしているんだろう・・」等と悩んでしまう原因にもなるからである。
できればどっかに遊びに行くついでにとか、何かの用事のついでにとか、「草ヒロ探し」はついでの駄賃程度に考えておいた方が良い様に思う。(またそういうときの方が珍品に出会えたりするんだな、これが・・)
せっかくどっかに行くんだもん、楽しみながらやりましょうぜ、旦那。
少なくとも私の様に仕事中に撮影をするのは、やめた方が良いと思う・・。

まあまあこれはさておき、以下草ヒロの生息する一般的なケースと、それぞれ注意すべき点などを紹介してみよう。


ケース1 田圃・山林・野山・道端・・

資料 a
草ヒロが最も多く見られるケースで有り、最も発見が容易な部類である。

特に道端は道を通る以上必ず目につく場所なのだが、以外な事に毎日通っている道でも、以外に草ヒロを見落としているケースも多い。
常に探索の意識を持ち、四方八方に注意を配っておくことがその予防策で有るが、自動車の運転中はあまりキョロキョロせぬ方が良いであろう。

田園地帯のあぜ道等でも草ヒロは多く見受けられる、田園地帯では障害物が少なく、遠くまで見通しが効くから発見の確率も効率もすこぶる良い。初心者の方は、まず田園地帯で勘を養うというのも良いだろう。

写真資料 a  は、最も一般的な田園地帯における草ヒロである。
草ヒロという割には草むらの率が少ないが、あまり難しい事を気にしてはいけない。
車種はスズキキャリィでそれ程珍しいクルマではないが、錆の発し方といい、無意味な傾斜といい非常に好ましい姿を保っている。
このクルマの後方矢印で示した箇所には、また別の草ヒロが生息している。田園地帯は草ヒロの宝庫、という私の学説を図らずも実証している、私にとってたいへん都合の良い写真であると云えよう。
いまどきそんな奴いねえよと云われるかもしれないが、肥溜めには気をつけよう。

山間部では山裾、林と平地の境目あたりに放置されているケースが多いように思う。
こういったケースも含め、経験を積めば草ヒロ生息の「匂い」が自然と分かるようになるものである。


ケース2 民家の庭先

資料 b
次ぎに多いのは民家の庭先に放置されたものである、この場合住人が元のオーナーで有るケースが殆どで有る。
これら草ヒロは物置として使われているものと、なんの用途も無く放逐されているものの2つに大別される。オーナーが思いでの品として、部品取り車として、取り置いているケースもあるが、殆どの場合廃車費用を払うのがもったいないというのが、その実なのではないだろうか。

この場合注意せねばならないのは、これらに安易にカメラを向けるのは危険という事である。見知らぬ人間が自分の家に向けカメラを構えていたら、不審がるのは当然。
その家の人に許可をもらえば安心だが、大抵「草ヒロ撮影」の意義を理解してもらうのに一苦労する事となる。だから私はこのケースの場合、あまり手を出さないことにしている。

資料 b として例示した写真は、典型的な「元乗っていたクルマ」系である。
某所の民家の庭先で撮影したのだが、クルマを路肩に駐車させ、人が居ないのをみはからった上で車内から撮影した。
文中でも触れたが、こういういかにも怪しい不審者の様な手法はなるべく避けたいもの。またこうやってネット上で公開する際は、撮影場所が特定できないように配慮したい。


ケース3 解体屋・自動車工場

資料 c
解体屋となると「草ヒロ探し」の趣旨から外れるような気もするが、案外敷地のはずれとかで草むしている珍車が有ったりする。自動車工場とかも同様。
当然の事であるが、相手は仕事中なのでその手を煩わせたりしないこと。

解体屋では廃車の山のてっぺんに目立つクルマ、360軽だとか、オート3輪を乗せている事がよく有る。これは一種の看板の意味でも有るのだろう、これを敷地の外から撮影する位なら気兼ねがなくて良いかもしれない。

資料 c は、スクラップの山のてっぺんにおかれたスバル360。
場所は解体屋ではなく、普通の廃品処理業者であった。
国道沿いの最も目立ちやすい場所に置かれていた為、国道の歩道上から容易に撮影することが出来た。

余談ながらこういう目立つ所に有るクルマについて尋ねると、それ相応のお値段が付いていたり、「売り物じゃねーよ」、とかいう答えが返ってくることが多いようで有る。


ケース4 物置・集会所
これはケース1、ケース2とだぶるかもしれないが、バスやワンボックスカーは物置としてや、簡易な集会場として使われる事も有る。
最近は「100人載っても大丈夫」とかいう類のプレハブ倉庫が多くなってきたが、それでも廃車転用の倉庫も結構な数が残っている。これら廃車転用の倉庫は錆でボロボロになるケースが殆どで、程良いさび具合となっているものも多い。


ケース5 不法投棄車

資料 d
最後に紹介するのは「不法投棄車」、これは昨今社会問題にもなっている現象だが、ゴミ同然にして捨てられたクルマはとにかく多い。
こういった不法投棄車は大抵ガラスが割られていたり、車内にありとあらゆるゴミがワンサと詰め込まれていたりするもので、とにかく酷い状態の物が多い。
ゲテもの好きを自称する私も、さすがにこういった哀れなクルマ達を目の当たりにするとなかなか撮影欲が湧かないものである。

資料 d として掲示した写真は、なにを況わんやというところか。


ケース6 その他
うー、他にも広告塔の上だとか(いわゆる風見鶏)、看板代わりになっている物等々、色々ケースを考えていたのたが、どれも殆ど変わらないし面倒になってきたので、結局「その他」というくくりにしてしまおう。
とにかく実践あるのみという事ですな。



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